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専報60  2011年巨大地震 震害と対策

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「2011年巨大地震 震害と対策」編集委員会編0912-5760A4判210頁1,600円240円
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 2011年3月11日、日本列島は史上最大のM9.0の超巨大地震に襲われ, 最悪の原発事故を起こした。
 この日は, 「科学技術の粋を集め, 豊かな社会に役立つ原子力発電所が, 一方では地学的な立地条件を徹底的に調べつくして安全に管理しなければ, 多くの人々を危険に陥れる凶器にもなる」ことを実証した日でもあった。
 震災後, 原発立地内の活断層が問題となり, 「安全神話」の反省も云々されたが, ほどなく原発再稼働や震災の風化がささやかれる状況になっている。
 こうした状況を, 変えるには、地団研でこれまで取り組んできた経験を発展させるしかない. 「自然をしらべる地学シリーズ5 くらしと環境」(1982)あたりから芽生え, その後、神戸や新潟の地震被害調査(専報54,57など)などで震害しらべを進めてきた。また、「大震災 そのとき地質家はなにをしたか」(東海大学出版会 1996)では, 地質家は世の中から何を求められ, 大震災の何を明らかにしたのか? を問いかけている。
 こうしたなかで、仙台支部・新潟支部・長野支部・埼玉支部の会員を中心に、超巨大地震の揺れ被害の実態を明らかにするため調査団を結成して調査を進め、その結果から得られた後世に残すべきことをまとめたのが本書である.この中には, あまり触れられない東北と長野の被災地の地盤災害とそれへの提言, 各地の瓦屋根の被害とその対策, 平野部における活断層沿いの建物震害と減災への提言, 海外からみた超巨大地震などの報告が掲載されている。
 3.11災害、原発問題だけでなく、災害問題の今後の取り組みを考える上でも、重要な専報である。

もくじ
第一部
2011年3月11日東北地方太平洋沖地震と震害
  2011年東北地震による仙台市周辺部の地盤災害/仙台市の谷埋め盛土宅地の被害と対策/群馬県内の2011年東北地震の被害と地形・地質/埼玉平野の瓦屋根被害分布とその背景/2011年東北地震による埼玉県中央部の家屋の瓦屋根被害/関東平野北西縁、平井−櫛挽断層帯地域の瓦屋根被害/埼玉県秩父地域における建物被災─被害分布の特徴と旧秩父市役所の被災状況─
第二部
2011年3月12日 長野県北部地震
被害は地盤が規制した −長野県北部地震−/関田山脈南麓の巨大崩壊とせき止め堆積物/新潟・長野県境 関田山脈南麓のサギング地形とその地質的要因
第三部
巨大地震と地質・建築物
Geological structures controlling strong earthquakes in the South China and Indochina region/ 北海道胆振海岸、白老地域にみられる17世紀津波堆積物の分布と波源の検討/2011東北地震の群馬県の瓦損壊について ─瓦施工実務者だから指摘できる瓦損壊分析の注意点/建築構造研究者と瓦施工実務者による2011年東北地震の群馬県の瓦被害の構造的な分析/突き上げ強震動による建物震害
第四部
今後への提言 −自然と環境にそくした地域減災

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